細菌類最強の菌に対する次亜塩素酸水の効果について

細菌に対して次亜塩素酸水

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)をはじめとする抗生物質に対する薬剤耐性菌があり問題になっていることが報告されています。

 

また、最近の研究結果によるとアルコール除菌剤に対する耐性を持った細菌も出てきており非常に問題になっています。

参考アルコール殺菌が効かない耐性菌により病院内感染の原因に!

病院以外の分野だけでなく畜産分野においても家畜に過剰投与された抗生物質により薬剤耐性菌が出現し、食品を介して薬剤耐性菌が伝播する危険性も報告されています。

 

そのため、畜産分野および食品製造分野でも薬剤耐性菌に対する殺菌を行うことが求められています。

弱酸性次亜塩素酸水溶液はMRSAに対してやアルコール耐性を持つ細菌にも高い殺菌効果が確認されており、畜産および食品製造分野においても通常の微生物制御と同時に薬剤耐性菌対策としても有用性が高いことが示唆されています。

 

また、細菌の中でも芽胞菌は、一般的に消毒剤や熱に対する抵抗性が高く、次亜塩素酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザイルコニウムでは効果が十分に得られません。そのため芽胞菌は、菌類の中でも最強と言えます。

 

そこで、今回は、その芽胞菌に対して次亜塩素酸水の殺菌効果についてご紹介したいと思います。

芽胞菌は次亜塩素酸水で殺菌できるか?

その芽胞菌対策として、殺菌には強力な薬剤である過酢酸やグルタラールなどがあります。しかし、強力な殺菌剤は、殺菌効果が高い反面、作業者への健康被害や取り扱いなどの作業効率低下などの問題もあります。

そこで、注目を集めているのが次亜塩素酸水溶液です。次亜塩素酸水溶液は、作用後はお水に戻るため安全性や環境残留もしません。

pHや濃度の異なる次亜塩素酸水溶液を用いて3種類の芽胞菌(セレウス菌、耐熱性好酸性菌、クロストリジウムデフィシル)に対する殺菌試験を行いました。また、布、ポリスチレン、ステンレス鋼の3種類の材料に付着した芽胞に対する殺菌効果についても比較しました。

 

セレウス菌の場合、検出限界以下にするための接触条件は、pH6、有効塩素濃度200ppmで、ポリスチレンで5分、ステンレス鋼で15分、布で1分以内でした。一方、pH9、有効塩素濃度200ppmでは、60分の接触が必要でした。

 

耐熱性好酸性菌の場合も、pH6、有効塩素濃度200ppmの条件では、5~15分で検出なしでした。しかし、pH9、有効塩素濃度200ppmの条件では、ステンレス鋼で60分、布で120分であり、ポリスチレンで180分でも検出限界以下になりませんでした。

 

クロストリジウムディフィシル(CDと呼ばれ偽膜性大腸炎を引き起こす原因の菌)の場合も、pH6、有効塩素濃度200ppmの条件では5~15分で検出なしでした。他方、pH9、有効塩素濃度200ppmの条件では、30~ 60分と効果がでる時間が伸びました。

 

また、実験培地にて3種類の芽胞菌に対する殺菌効果試験では、芽胞菌を殺菌するためにpH9では有効塩素濃度200ppmの条件では最大240分必要でした。

 

一方、pH6で同じ効果の時間を計測すると有効塩素濃度10ppmで検出限界以下と同じでした。pH6で有効塩素濃度200ppmの条件では5分以下で全ての芽胞菌に対して検出なしという結果でした。

 

これらの実験結果から導ける結論として、次亜塩素酸水溶液のpHによって殺菌効果が異なり、弱酸性領域のpH6で200ppmの濃度の次亜塩素酸水溶液であれば、実験培地、3種類の違う表面に付着した条件に関わらず、3種類の芽胞菌に対して有効な殺菌効果があることが分かりました。

 

参考:弱酸性次亜塩素酸水溶液と電解式次亜塩素酸水の違い!効果的に使う濃度とpHについて

次亜塩素酸水によるカビ(真菌)・細菌に対する殺菌効果について

 

カビに対して次亜塩素酸水

緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス属、アシネトバクター、サルモネラ菌、カンジダ、ステノトロホモナス・マルトフィリア、枯草菌(芽胞菌)、セレウス菌(芽胞菌)、クロコウジカビについてpHによって殺菌時間の違いについて実験を行いました。次亜塩素酸水溶液の濃度は50ppmです。

 

その結果として、全ての微生物はpH5~8の次亜塩素酸水溶液によって15秒~60分で殺菌・不活化でき、次亜塩素酸水溶液はこれらのすべての微生物に対して殺菌効果がありました。

 

それぞれの菌によって殺菌効果の違い、時間が短いほど殺菌効果が高いと言えます。

緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス属は、pH域で最短殺菌時間が15秒と最も短い時間で殺菌・不活化されました。これらの菌は次亜塩素酸水溶液に対して抵抗性が低いです。

 

アシネトバクター、サルモネラ菌、カンジダはpH5の弱酸性域では15秒の接触で検出限界以下となりました。

 

pHが上昇するにつれ最短殺菌時間が長くなり、pH8のアルカリ域ではいずれも30秒で検出なしという結果でした。これらの菌は次亜塩素酸水溶液に対して多少の抵抗性を持ちます。(耐性菌というわけではありません。)

ステノトロホモナス・マルトフィリア、枯草菌、セレウス菌、クロコウジカビはpH6の場合で最短殺菌時間が各々1分、5分、10分、5分とその他の菌よりも長く、次亜塩素酸水溶液に対して抵抗力がもっとも高かったです。

 

また、抵抗力が高かった菌は次亜塩素酸水溶液のpHによって殺菌効果に大きな違いが出ました。

例えば、枯草菌の場合では、pH5、6の弱酸性域では最短殺菌時間は5分でしたが、pH8のアルカリ性域では60分と大幅に時間がかかりました。

 

これらの結果より、弱酸性域であるpH 5.0、6.0において次亜塩素酸の殺菌効果が最も高いことが分かりました

 

参考:次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを徹底比較!厚生労働省の見解は?

 

人に感染する病原体はたくさんあり全てを調べることは難しいですが、理論上弱酸性次亜塩素酸水溶液(十分な濃度200ppm)あれば不活化することができます。

もし、「細菌やウイルスについて調べてほしい!」ということがあれば実験してみたいですね!

以上、細菌類最強の菌に対する次亜塩素酸水の効果についてご紹介しました。