【追記2018年9月10日に行いました。】
昨今インフルエンザが猛威を振るい全国的に感染者が続出しています。
国立感染症研究所によると2018年1月1日〜2月11日までで、累計1,221,456人も定点観測をしている医療機関で報告されました。
※全国に約5000ヶ所の医療機関に受診した人を報告しています。
国立感染症研究所では、インフルエンザ流行レベルマップを作っており地域ごとの注意報(黄色)、警報(赤)で見ることができます。2017年〜2018年のマップの更新は終わりましたが、また2018年〜2019年にかけて随時更新されていきます。
インフルエンザウイルスは人から人簡単にうつっていくため人が集まる幼保園、医療施設、福祉施設などは蔓延しやすいです。
そこで、インフルエンザ感染拡大を抑制するために新しい対策方法として救急振興財団救急救命東京研修所教授の櫻井勝氏による提案された論文についてご紹介したいと思います。
引用:保育園、福祉施設における新型インフルエンザの感染拡大の抑制について新型インフルエンザ感染経路遮断としての次亜塩素酸水の活用
強毒型インフルエンザの脅威が迫る
本来、インフルエンザウイルスはアヒルやカモなどの水鳥が持っているウイルスで鳥から鳥にしか感染しません。それらの水鳥は接触頻度が低いため広がることはありませんでした。
しかし、私たちがニワトリを家畜するようになり密集した中で育てているためどこからか感染したニワトリからニワトリにどんどん感染していきます。
ケージの中で何万匹もいれば1個体感染するだけで1、2、4、8、16、32…と倍々で増えていってしまいます。
2018年1月には、香川県で鳥インフルエンザになり10万弱のニワトリの殺処分されました。
参考:毎日新聞「H5型の高病原性の鳥インフル検出 殺処分を開始」
単純に鳥インフルエンザであるならば調子が悪くなりいずれ回復するのですが、やっかいな理由として強毒型のインフルエンザウイルスなのです。強毒型とは従来の呼吸器だけでなくその他の臓器にも影響を与えてしまいます。
2008年、WHOの発表によると、その強毒型の鳥インフルエンザウイルスが人に感染して384の確定症例中243の死亡例数が報告されています。
強毒型のインフルエンザが感染した場合の試算
強毒型の鳥インフルエンザが新型インフルエンザに変異し全世界的な感染拡大を起こす危険性が指摘されています。
日本で感染症が蔓延した時の被害は、厚生労働省により試算されています。
想定感染者数:3200万人(人口の25%)
入院患者:53万人〜200万人
死亡数:17万人〜64万人
また、日本の経済的な被害をいくつかのシンクタンクにより試算されています。
・GDP 損失は約20兆円(約4.1%)第一生命経済研究所が推定した試算
・GDP 損失は約30兆円(約6.1%)豪州農業資源経済局が推定した試算
・GDP 損失は約16兆円約3.3%(軽症のケース)
・GDP 損失は〜約40兆円(〜約8.2%)(重篤のケース)
・GDP 損失は〜約77兆円(〜約15.7%)(最重篤のケース)
LOWY Institute for International Policyが推定した試算(軽症〜最重篤に区分しました)
日本の1年の国家予算が約98兆円(2018年)ですが、強毒型の中でも最重篤になったケースでは1年の国家予算には及びませんが約80%弱にも当たります。最悪のケースにならないためにも早急に対策を進めていかなければいけません。
参考:厚生労働省「新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定」
強毒型のパンデミックが起きた場合、感染してから対策するのでは非常に危険です。もともと免疫のない乳幼児、免疫が弱くなった高齢者、基礎疾患を患っている人は季節性インフルエンザでさえ生死に関わります。ましてや強毒型であれば…
そこで論文では、次亜塩素酸水溶液を活用して強毒型インフルエンザウイルスの感染拡大を抑制する方法のひとつとしてご提案されています。
次亜塩素酸水で強毒型インフルエンザ対策
次亜塩素酸水溶液は、弱酸性で有効塩素濃度が30ppm~200ppm使用され次亜塩素酸(HOCl)を主成分とした水溶液で、次亜塩素酸ナトリウムに酸を混合して作る製法と食塩または塩酸を電気分解して作る製法があります。どちらの製法も厚生労働省によって食品添加物として認められている殺菌料です。
※但し、混合して作る製法は、詰め替えることなく生成した場所でのみ殺菌料の食品添加物として認められています。
次亜塩素酸水溶液の殺菌試験では、インフルエンザウイルス、ノロウィルス代替ウイルスのネコカリシウィルス、ロタウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウィルス、コクサッキーウィルスなど数秒から数分で不活化することができます。※論文引用
また、白癬菌(はくせんきん)、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、緑膿菌、ビブリオ菌や消毒用アルコールや加熱に効果が薄いクリストリジュウムディフィシルやセレウス菌などの芽胞菌も同じく数秒〜数分で殺菌することができます。
注意:厚生労働省が行った試験での次亜塩素酸水の濃度は57ppmです。
さらに現在医療分野で問題となっている薬剤耐性を持ったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)にも耐性を持つことがなく殺菌することができると報告されています。
次亜塩素酸水溶液は、化学物質の法規制において、特定化学物質、燃性、劇毒物、危険物等いずれにも該当せず安全に使用ができます。※論文引用
これまで行われて来た安全性試験によると、成人が毎日飲水した場合に影響を受けない計算上の飲水量は、1 日あたり 6.4L(60kgの人)と言われており、発がん性、変異原性等は報告されていません。
1日に毎日ガブガブ飲んだとしても健康上の被害はないし、そもそも飲むものではないで安心ですね。
安全性の前提となっていることが次亜塩素酸水溶液の特徴にあります。次亜塩素酸水溶液は自然分解されお水に戻ります。紫外線、温度、有機物などに作用することによって失活し、水道水に近い状態となります。安全性と同様に、川、海、土、植物に対する環境負荷はごく小さく、他の消毒剤とは比較にならないほどです。
一方、次亜塩素酸水溶液は菌、ウイルスに対して効果がありますが、虫や原虫には効果がなく殺虫の用途とは区別する必要があります。
虫や原虫などの生き物には効果が全くありません。そのため蚊やハエにも無害なのです。
また、デメリットとして長期保存ができないこと、油分を多く含むものは効果が低くなるので、石鹸や洗剤で洗浄する必要があると筆者は述べています。
次亜塩素酸水の使用場所
現在、一般家庭でも使用される方もいますが、まだまだ認知度は低いと言わざるをえません。
老人介護施設、食品工場、病院、幼保園などの施設で衛生環境を改善するために使用されています。
特に、インフルエンザウイルスが蔓延する冬場には、空間除菌、念入りな手洗い、汚物処理後の器具除菌、オムツ交換後の消臭と除菌、清おもちゃや哺乳ビン、食器の除菌などに利用されています。
また、アメリカでは、褥瘡(床ずれ)の治療予防剤として使われているそうです。
新型インフルエンザ対策に有効な次亜塩素酸水
インフルエンザウィルスに対して次亜塩素酸水溶液の濃度が比較的低くても不活化できるため、超音波加湿機に次亜塩素水溶液を加えて、空間噴霧します。※論文引用
超音波加湿器の霧は非常に細かいため、空間滞留時間が長く、結露も生じないためパソコンやその他電気機器への影響もありません。
また、加湿そのものは感染を低減させるのに有利に働きます。さらに、他の消毒剤(二酸化塩素、グルタールアルデヒド、オゾン、エチレンオキサイドなど)と比較すると非常に安全性が高く使えるのがメリットです。
※次亜塩素酸水溶液以外の溶液を加湿器に入れて使用することは絶対にしないでください。韓国で、加湿器に農薬を混ぜて使用してしまい死亡事故が起こっています。
強毒型のインフルエンザを私たちの免疫反応のみで対応する前に感染する前にやっつけてしまうことが一番効率的と考えます。
インフルエンザウイルスの感染経路を遮断し、手洗い、うがい、次亜塩素酸水溶液のスプレー、空間除菌、加湿、手洗い、うがいを徹底するように論文では提言しています。
ウイルスは感染すればするほど、感染しやすい形に変異していきます。
強毒型になるXデイがいつ来るかは分かりませんが、日頃から体に侵入する前に予防を心がけていればそのXデイを先延ばしすることができるかもしれません。
以上、インフルエンザ対策で次亜塩素酸水の活用を提言!その研究論文の内容とは?をご紹介しました。