昨今、豚コレラ、鳥インフルエンザ、口蹄疫、狂牛病など蔓延を防ぐため殺処分が問題となっています。
特に、鳥インフルエンザは感染力が非常に強く人に感染する事例もあり、新型インフルエンザへの変異の恐れもあります。そのため養鶏場の場合が発生した場合、移動制限や数十キロメートルの範囲に入る他の養鶏場も殺処分の対象になります。
そのため、一度発生すると、莫大な経済的損失だけでなく人への感染症のリスクも高まるため早期対策する必要があります。
日本では、「家畜の伝染病の発生の予防と蔓延の防ぐために」家畜伝染病予防法を制定しています。また、2017年2月1日に家畜伝染病予防法の飼養衛生管理基準の一部が改正され、家畜のオーナーがその飼育に関わる衛生管理に関し最低限守るべき基準ついて見直されました。
第三条の二 農林水産大臣は、家畜伝染病のうち、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要があるものとして農林水産省令で定めるものについて、検査、消毒、家畜等の移動の制限その他当該家畜伝染病に応じて必要となる措置を総合的に実施するための指針(以下この条において「特定家畜伝染病防疫指針」という。)を作成し、公表するものとする。
そこで、首都大学東京が行なった研究で、「次亜塩素酸水を畜産の清掃や除菌などの衛生環境に応用した試み」の概要についてご紹介したいと思います。
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伝染病を抑制するための清掃と消毒
家畜の伝染病の発生には3つの条件があります。
1 病原体が存在する感染源がいること
2 家畜にたどり着くまでの感染経路があること
3 感染する家畜がいること
この3条件が揃わなければ感染症は広がらず予防することができます。だからこそ、感染経路を遮断し、感染源を取り除くことが非常に有効なのです。
家畜の排泄物の処理、器具の消毒、消毒した飲料水など繰り返し清掃、消毒をすべきです。
・都道府県知事及び市町村長は、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、この法律の規定による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずるものとする。
・農林水産大臣は、特定家畜伝染病防疫指針を作成し、変更し、又は廃止しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。
引用:家畜伝染病予防法
次亜塩素酸水を活用した畜産での研究概要
次亜塩素酸水は動物の免疫を司る好中球の中でも生成されており、菌やウイルスに対する殺菌のメカニズムの中で使用されています。
次亜塩素酸の殺菌メカニズムを詳しく知りたい方は下記の記事を参考にどうぞ!
特徴として作用した後はお水に戻るため残留性や安全性が高く環境負荷が低いことが挙げられます。
畜産業者の協力を得て、その次亜塩素酸水を用いて畜産現場にて安全・安心な畜舎の衛生管理・家畜の健康管理ができるか、また食肉加工工程と洗卵工程での効果を検討されました。

その結果、畜舎への出入り口における作業従事者への散布効果、畜舎全体への噴霧効果を行い、浮遊菌・落下菌などの分析をしてその効果の有効性が分かりました。
また、食肉加工工程および洗卵工程の衛生管理についても、製造ラインや鶏卵の洗浄における殺菌効果の比較調査を行い、低温・低濃度でも有効性を確認することができました。
これまでに用いてきた次亜塩素酸ナトリウムと比較すると、次亜塩素酸水は、安全、且つ低温殺菌効果ともに高く、殺菌効果を高めるために高温条件下における処理の必要があり、畜産従事者の健康被害抑制と作業環境改善ができます。
また、次亜塩素酸水を活用することで安全な防疫対策・衛生管理がされることによって、伝染病リスクを軽減し、安定供給のメリットを享受できる可能性が示唆されました。
参考:次亜塩素酸水を基盤とする畜産分野における 衛生管理・防疫対策への応用
以上、畜産に次亜塩素酸水を応用!その清掃・除菌・消臭についてご紹介しました。