次亜塩素酸水溶液でスギ花粉アレル物質を不活化できる?研究論文を紹介!

花粉対策次亜塩素酸水

日本は自然に恵まれており、都会でも緑をみることができる素敵なな国です。一方で、木々が飛散させる花粉によってニュースでも花粉情報が出るようになり国民の関心事の一つと言えます。

厚生労働省によると、スギ林の面積は全国の森林の18%、国土の12%を占めており、花粉症を患っている方の約70%はスギ花粉が原因と言われています。

また、日本全国で花粉症を患っている割合は20%を超えると報告されています。花粉が舞う時期には、ティッシュペーパーを1箱丸ごと持ち運んでいる人もいらっしゃいますよね。

花粉には次亜塩素酸水

花粉症はいわば国民病と言え、花粉対策は早急に行う必要があります。

そこで、今回は除菌や消臭として活用されている弱酸性次亜塩素酸水溶液を使って花粉アレル物質に対する実験を行った論文について簡単にまとめました。

引用:弱酸性次亜塩素酸水溶液のスギ花粉アレル物質 Cryj1に対する不活化効果

次亜塩素酸水溶液によるスギ花粉アレル物質(Cryj1)に対する不活化効果について

スギ花粉アレル物質はいくつかありますが、その中でも主なアレル物質のCryj1を対象として次亜塩素酸水溶液を用いて水中浮遊アレル物質の不活化実験と付着アレル物質の不活化実験を行いました。

水中アレル物質の実験では、弱酸性次亜塩素酸水溶液(有効塩素濃度50ppm、pH6.0)と対照区として純水を使用し10mlを一定時間接触させました。

その結果、初期のCryj1濃度は粗抽出液で 0.46ng/ml弱酸性次亜塩素酸水溶液接触60秒でCryj1濃度は0.04mg/mlに低下し、高い  が認められました。

付着したスギ花粉アレル物質に対する3通りの次亜塩素酸水溶液を利用

付着アレル物質の不活化実験では、弱酸性次亜塩素酸水溶液を浸漬処理(10mlを10分間浸漬させる)、スプレー処理(1回につき0.5ml噴霧されるスプレーを3回吹きかける)、噴霧処理(超音波加湿器から15cm離れた場所に設置し30秒間噴霧させる)をプラスチックシャーレとろ紙に花粉を付着させて各々比較しました。

プラスチックシャーレの場合、処理前のCryj1量は粗抽出液で3.6ngで、浸潰、スプレー、噴霧した処理後のCryj1量は0.2、0.4、0.3ngとなり、純水との対照区と比較した場合と比べ高い不活化効果が確認できました。

また、ろ紙の場合、処理前のCryj1量は租抽出液で1.3ngで、浸潰、スプレー、噴霧した処理後のCryj1量は各々0.08、0.4、0.8ngとなりました。

以上の結果より、弱酸性次亜塩紫酸水溶液はスギ花粉アレル物質Cryj1に対して不活化効果を有することが分かりました。

まとめ

花粉が舞う時期に次亜塩素酸水溶液

花粉アレル物質を不活化する最も効果があったのは浸漬処理でした。その理由として、接触効率が良いことや接触量が多かったことが影響していると考えられます。

次亜塩素酸水溶液の量が浸漬、スプレー、噴霧になるにつれて、10ml、1.5m1、0.13mlとなり、相対的にスギ花粉アレル物質の不活化の量も減少しています。

つまり、次亜塩素酸水溶液の接触時間や接触する量を増やすことでより効果があると推察できます。次亜塩素酸水は細菌、真菌、ウイルスに対する除菌・分解や消臭のみでなく、花粉アレル物質に対しても不活化の効果がありました。花粉が飛散する時期には花粉対策として上手く日常生活で活用していければと思います。

以上、次亜塩素酸水溶液でスギ花粉アレル物質を不活化できる?研究論文を紹介しました。