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オゾン水と次亜塩素酸水(キエルキン)の違いについてご紹介します。オゾンに関して独立行政法人国民生活センターでも家庭用オゾン発生器に関して試験した結果もでており、そちらも踏まえて情報をまとめました。
オゾン水と次亜塩素酸水のメリット・デメリット
– | 次亜塩素酸水(キエルキン) | オゾン水 |
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メリット | ・安全性が非常に高いこと(誤飲しても問題ない) ・残留性がない(オゾン水と同様) ・次亜塩素酸水溶液は人のいる環境であっても使用することができること (換気の必要がない) ・消費期限があるが製造から3ヶ月効果があること ・濃度によってはオゾンより除菌・除去能力が高くなる | ・次亜塩素酸より低濃度で除菌・除去できる ・オゾンの気体で使用できる (※但し、人のいる環境では使用不可) ・反応後、酸素と水に戻る (※次亜塩素酸は塩化物イオンとお水になる。水道水に近い) ・お水のpHにより殺菌力が左右されない |
デメリット | ・オゾン水の方が安価 (オゾン測定器や除外設備を除く) ・pHによって除菌力が変わる | ・スプレーボトルなどに移し変えて使用できない (※短時間で失活するため保存ができません) ・低濃度でも毒性が強い ・水に溶けにくい物質のため空間に気化すること ・ほとんどの金属に腐食性を持つ (※次亜塩素酸はステンレスには影響はないですが、鉄は水道水より若干錆びやすいです。) ・ゴム・プラスチック(ナイロン、フェノール樹脂など)を侵食する ・除害設備も含め設備が高くなる ・濃度管理にオゾン濃度計が必須なこと |
オゾンと次亜塩素酸の殺菌メカニズムはほとんど同じ
オゾンも次亜塩素酸も殺菌メカニズムはラジカル反応というもので菌やウイルスに纏っている電子を奪う酸化剤として機能しています。
オゾンは、酸素ラジカルとヒドロキシラジカル(条件によって)を利用して、次亜塩素酸は塩素ラジカルとヒドロキシラジカルどちらも利用して攻撃しています。どちらも耐性菌を生成しない殺菌メカニズムになっており、同じ濃度であれば、次亜塩素酸に比べオゾンの方が殺菌力は強いです。
酸化剤の強さを酸化還元電位(V)にて表しています。自身より酸化還元電位の低いものが周辺にあるとその力を失うため、空気に含まれる菌、有機物、二酸化炭素など酸化還元電位の低い物質が酸化する対象となります。
酸化還元電位(V)
フッ素→2.87
ヒドロキシラジカル→2.85
オゾン→2.07
次亜塩素酸→1.63
塩素→1.36
二酸化塩素→0.75
酸素→0.82
次亜塩素酸(ラジカル反応)により殺菌のメカニズムについては下記の記事を参考にしてください。
次亜塩素酸とは?消毒の効果と化学的な殺菌メカニズムについてオゾン水と次亜塩素酸水(キエルキン)の除菌力について
数ppm〜1ppm以下のオゾン濃度のものが多いですが、オゾンは非常に不安定な物質ですぐに濃度を失ってしまいます。オゾン水の場合数分〜数十分で酸素に分解されてしまいます。また、温度が高いとより早く分解が促進されていきます。
酸化還元電位が高いオゾン水は次亜塩素酸水溶液に比べて殺菌力が強いですが、低濃度のオゾンだと特に、菌類最強である芽胞菌に対して殺菌速度が変わってきます。
オゾン水4~5ppm→6〜8分で検出なし
オゾン50ppm→1〜2時間で検出なし
上記の通り芽胞菌に対してもオゾンやオゾン水は殺菌があり効果があると言えます。
注意:オゾン50ppmは1時間で生命の危機の濃度です。
一方、次亜塩素酸はラジカル反応と電気的中性の特性により芽胞状態の菌の内部まで侵入し、57ppmでも3分以下で検出なし(厚生労働省のエビデンス)、200ppmでは30秒以内に検出なし(株式会社ラジカルラボのエビデンス)という結果です。
オゾンの安全性について
オゾンは濃度によって人体への危険度が変わってきます。下記にオゾン協会が作ったオゾン濃度による人体への影響についてまとめてあります。
また、日本では0.1ppm以上が人体に影響するラインと決められております。(空気中の安全基準濃度)
補足:アメリカ合衆国食料医薬品局(FDA)0.05 ppmまでと決められています。
空間のオゾンの濃度が0.1ppm〜1ppmになると、喉、目、胸、上気道に刺激があり、咳、頭痛、疲労、視力の低下、呼吸障害などが出てきます。
(個人差がありますがそれ以下でも感じる人もいます。)
また、5~10ppmになると呼吸困難、肺うっ血、脈拍増加を引き起こし、50ppm以上になると死に至る可能性があるため、きちんとした取り扱いが必要になります。
オゾンは人がいる場所では使用はしてはいけません。もちろん、人がいるなかで空間噴霧も次亜塩素酸水溶液とは異なり行うことはできません。
国民生活センターに2004年〜2009年の約5年間に、オゾン発生器に関する相談が410件あり、その内、安全性に関するものが67件ありました。
その相談内容について下記に一部引用します。
相談1
新築時の建材の臭いを脱臭しようと購入したが、オゾンは濃度が高くなると人体に毒性があり最悪は死亡すると聞いた。使用時のオゾン濃度が心配だが、具体的にどのくらい使用すると影響があるか分からない。
(2009 年度 20 歳代男性 神奈川県)
相談2
インターネット通販で空気清浄機を購入。オゾンを発生させて消臭する器具である。アレルギー体質で頭が痛くなったので取扱説明書を見たところ、喘息のある人は使用については医師に相談とあった。インターネット上には表示はなかった。販売業者に返品したいと伝えたが、拒否された。
(2008 年度 20 歳代女性 大阪府)
相談3
3ヵ月営業し移動する店で体にいいと言われオゾン発生器を購入したが、使うとのどが痛くなるし、孫も咳が出るので使わなくなった。業者に咳が出たことを伝えたところ、他の用途で使うよう言われた。使わず、置いておいても仕方ないので、返したい。
(2008 年度 60 歳代女性 福岡県)
相談4
オゾンを発生させ殺菌をする空気清浄機をインターネットで購入した。咳き込むので返品したい。
(2007 年度 30 歳代男性 東京都)
相談5
テレビの通販番組で、オゾンを発生させる空気清浄機がウィルスやホルムアルデヒドなども含め除菌・脱臭効果があると紹介していた。喘息の猫を飼っているので最適と思い購入した。1 週間使ったら傍の観葉植物の緑葉が茶変色して枯れた。人体にも悪影響があるのではと心配。
(2007 年度 50 歳代女性 東京都)
相談6
知人からの紹介販売でオゾン発生器を購入したが、使用したら胃が痛くなった。体によいというが、信用出来る商品か。オゾンを直接吸い込まないでくださいということが気になる。臭いも悪い。
(2006 年度 40 歳代女性 大分県)
そのような背景から異なるメーカーの家庭用オゾン発生器7種を対象に安全性、効果等試験を実施することになりました。
上記にも説明しましたが、高濃度のオゾンに晒されると人体に害あります。しかし、家庭で使うオゾン発生器から排出されるオゾンに関する法令や基準がないのが現状です。従って、知らぬ間に、高濃度のオゾンが生じている場合には、人体への悪影響を与える可能性が高いと言えます。
家庭用のオゾン7種類の内5種類は、排出口付近では最大2.2~10.2ppmと非常に高濃度で、約16㎡(8.7畳)相当の室内で30分間使用すると最大0.1~1.0ppmと、室内環境基準や労働環境における許容濃度の0.1ppmを超えて人体に悪影響を与え危険でした。残りの2種類は室内のオゾン濃度はあまり上がりませんでしたが、機械の種類によってオゾン濃度が大きく変わることが分かりました。
また、室内にてオゾン水を使用する場合、オゾンのほとんどは溶けずにそのまま空気中に飛散するため、室内のオゾン濃度が高くなり危険であることが分かりました。同様に、浴室内でオゾン水を使用すると、短時間でオゾン濃度が高くなり危険です。
国民生活センターの結論として、以下そのまま引用いたします。
使用方法によっては危険なオゾン濃度となるものがあり、また、オゾン発生量等の表示を見ても専門知識のない消費者が安全に使用することは難しいと考えられた。このような現状のもとでは、購入等は避けた方がよい。
独立行政法人国民生活センター「家庭用オゾン発生器の安全性」について
一概に、オゾン水や次亜塩素酸水といってもメーカーによって製法も違えば商品の質も異なってきます。購入する人はまずその特性を知ってから使用されることをオススメいたします。
以上、オゾン水と次亜塩素酸水(キエルキン)を徹底比較!安全性や除菌力についてご紹介しました。