毎年流行するインフルエンザやノロウイルス、ロタウイルスなどの感染症。
それぞれの病原体の感染力、感染経路は様々ですが、これらが流行する際の規模の拡大には私たちの行動が大きく関わっています。
インフルエンザをはじめ、既存のウイルスが遺伝子を変化(環境適応)させたものや、これから登場するであろう未知の感染症など、流行を未然に防ぐには集団での予防に加え個人での予防も大切になってくるのです。
知識不足が原因で流行が拡大してしまうのは避けたいもの。
そこで今回は、感染症予防・流行対策のための具体的な方法をまとめて紹介していきます。
ここで紹介する方法はインフルエンザだけではなくその他の感染症予防としても効果的。ぜひ覚えて日頃の対策にお役立てください!
予防の基本は感染リスクを下げること
感染症の予防・対策として、まず多くの人が「手洗い・うがい」「マスクの着用」をあげてくださるのではないでしょうか。
報道でもよく取り上げられており、多くの人が実践しやすくて効果もありそうですよね。
ただここで意識しなければならないのが「これをやれば絶対に感染しない」という対策はない!ということ。
つまり、感染リスクを完全に0%にすることはまず不可能なんです。
感染してしまう、というリスクを100%で表したとき、これをなるべく0%に近付けるために努力をすることが重要なんですね。
例えば極端な話、「インフルエンザが流行っている!」という状況に対して「誰にも会わない」「自宅から一歩も出ない」という行動をとれば感染のリスクを0%に近い値まで下げることはできます。
しかし、私たちは社会生活を行っており、そういった選択をすることは現実的には難しいのです。
子どもたちには学校や保育園がありますし、大人にも仕事や生活用品の買い物、送り迎えなどのタスクがあります。
だからこそ、対策にあたってポイントになるのが「普段の生活と予防のバランスを取り、リスクの最小化を目指すこと」なのです。
感染しない為に!日頃の注意点
そこで今回は、すぐに実践できる感染予防のポイントをまとめました!
対策のひとつひとつはカンタンに見えても、忙しい日々の中ではおろそかになってしまうもの。
この記事を読んで再確認し、皆さんの暮らしに役立ててくださいね!

代表的かつ重要な感染対策、手洗い。普段から様々なもの、場所に触れる手には当然ウイルスも付着します。
そして私たちはその手で自身の顔周りに触れたり、またほかのものに触れたり…。
手を介してウイルスは行きかい、体に取り込まれているのです。
だからこそ手洗いはとっても大切!
外出からの帰宅時はもちろん、お出かけ先でもお手洗いに入った時などは丁寧に手を洗うように心がけましょう。
手を洗う時にはせっけんをしっかり使い、水で十分に流してください。
また、自分では「綺麗になった」と感じていても、細かい部分は案外洗えていないことも。指先や指の間、手首などまで意識して、15秒~30秒程度の時間をかけ丁寧に洗ってくださいね!
また、小さなお子さんにとっても手洗いは大事です。
指しゃぶりや爪噛みの癖があると、あちこち触れた手をそのまま口に入れてしまうことになり感染リスクが上がってしまいます。
それぞれの癖に注意しながらこまめに手を洗うことで対策していきましょう。近場に手の洗える水場がない際には手指に使用しても問題ない除菌剤を活用するのも良いですね。
ただ、よく設置されている手指消毒用のアルコールは水と混ざると濃度が下がり、効果も低下してしまいます。
手洗い後に使用する場合にはしっかりと水気をとってからにしましょう。
また香りがつけてある市販製品は子どもの誤飲の危険性があるため、大人が十分注意して使うようにしてくださいね。

実は、うがいについてはインフルエンザの予防方法として科学的に効果の実証がされていません。
というのも、インフルエンザウイルスが粘膜に付着した場合、ものの数十分の間に細胞に侵入してくるため、家でうがいができる状況になるころにはすでに遅い!という可能性が高いからです。
しかし、手洗いと一緒のタイミングで行える手軽な方法ではあるため、やらないよりはやった方が良いでしょう。
また、外出から帰ってきたときには顔も一緒に洗うとマスクで覆われていない箇所についたウイルスも流すことができます。

帰宅後すぐにお風呂を済ませるのも良いですね!
寝起きや空気の乾燥を感じる時、のどに違和感があるときなどにもうがいはおすすめ。
また、こまめな水分補給を心掛け、口やのどを潤すことも大切です。

花粉症や新型コロナウイルスの流行もあり、日本ではマスクの着用は広く一般に浸透しています。しかしマスクをしているからウイルスが完全に通れなくなるのか?といえばそれは違います。
マスクは基本的にすでに感染している人がするもの。
くしゃみや咳、会話による唾液などの飛散を防ぐために着用が推奨されています。
かといって感染していない状態でマスクを着用することに意味がないわけではありません。使ったマスクを捨てる際には表面を触らないようにしましょう。ウイルスや菌が付着しています。
また、一度外してポケットに入れたものを繰り返し使用することは避けてください。
正しい予防効果を得るためにはマスクのサイズにも注意が必要です。自分の顔の大きさに合ったものを選ぶようにしましょう。
着用時に裏表を間違えないように気を付けて!

コロナウイルスの流行から、除菌グッズはより身近なものになりました。
ドラッグストアをはじめ、コンビニエンスストアやインターネットでの通販など、多様な製品が入手しやすい環境にあるため、自分の使いやすいものを選び生活に取り入れていきましょう。
家に常備するのはもちろん、スプレーやジェルなど持ち運びやすいサイズの製品もあるので、お出かけ先でも気になるときには活用していきたいですね。
ただ、使うタイミングによっては本来の効果を引き出しきれないこともあるので要注意!
キエルキンは手洗いの後にお使いいただくとさらに効果的です!

インフルエンザウイルスは変異しやすいため、ワクチンを打ったとしても感染を確実に防げるわけではありません。
しかし、予防接種をすることにより重症化のリスクを抑え、入院や死亡などの重篤な事態を回避する確率を上げることができます。
インフルエンザ自体も辛い病気ですが、かかってしまったあと症状が悪化すると肺炎や気管支炎などの合併症を起こしてしまったり、小さなお子さんの場合だと「インフルエンザ脳症」と言われる急性脳症に繋がってしまったりすることもあります。
より酷い事態を避けるためにも、予防接種はしっかりと受けるようにしましょう。

時にはズレることもありますが、例年11月から3月あたりまではインフルエンザの流行シーズンとされています。
そんな時期、外出する際に意識したいのが「人混みを避ける」こと。
不特定多数が密集している場所には、すでにインフルエンザに感染している人もいるかもしれませんからね。
多くの人が訪れるショッピングセンターやスーパーに行く場合は混雑時をなるべく避けるようにしましょう。
また、外出時に利用する交通機関の見直しをするのも良いかもしれません。
もし公共交通機関を使っている場合は出勤時間をピークタイムからずらすのも効果的です。
できる範囲で行動を変えてみましょう。

お外に出ているときにはそれと知らずに多くの人とすれ違い、接触をしているもの。
そのためお洋服や手にはウイルスや菌がたくさん付着した状態になっています。
特に、新型インフルエンザなどは感染力が強いため、外出時のコートを着用したまま赤ちゃんや子どもを抱っこするとそれが元で感染する可能性があります。
外出先から帰ってきたらまずは上着を脱いで除菌スプレーをかけるようにしましょう。
着用していたコートやダウンは玄関で脱ぎ、室内空間にはあまり持ち込まないようにして、外と中でのメリハリを意識するのがおすすめです!

お洋服の表面のほこりやウイルスが舞わないように、
服を脱ぐときはゆっくりと!

十分な睡眠がとれていない、偏った食事をしている…
不規則な生活をしている人は体力が落ち、体調を崩しやすい状態になっています。
生活習慣が乱れ、免疫力が低下しているとただの風邪からこじらせてインフルエンザになってしまうことも…。
毎日の睡眠時間の確保、規則正しい生活、適度な運動、免疫力をアップさせる食生活など、普段から生活習慣には気を付けましょう。

階段の手すりやドアノブ、トイレなど多くの人が触れる、使う場所は要注意。
外出時は意識して触りすぎないようにし、清掃する場合は入念に行うようにしましょう。
アルコール除菌剤や次亜塩素酸水を使用した除菌剤を活用し、1日に何度か該当箇所を掃除してくださいね。
また家庭内で感染者がいる場合にはその人が使用した食器やおもちゃ、座った椅子や触った可能性のある箇所を丁寧に清掃しましょう。
掃除をした後は手洗いも忘れずに!

インフルエンザウイルスをはじめ、多くのウイルスは湿度の高いところを嫌います。
反対に温度が低く、乾燥した環境だと活動が活発になってしまうため、室内の温度・湿度の管理は重要です。
室内の湿度を50~60%に保つことで感染を抑えられる、というエビデンスもあり、部屋を加湿することで鼻やのどの渇きを予防し、粘膜を保護することもできます。
ただ加湿器を用いた湿度調整を行う際気を付けたいのが加湿器内の水です。
加湿器内に溜めてある水を放置し、汚れた状態にしてしまうとレジオネラ菌という細菌の温床になってしまうことがあり、それが原因となっていわゆる加湿器病になってしまう危険があります。
対処法としては、加湿器内に入れる水道水にキエルキン(次亜塩素酸水)を混ぜることがあげられます。
一定量を混ぜて入れることで水を衛生的に保ち、さらに空間除菌もできて一石二鳥です!
ただし、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と次亜塩素酸水溶液(HOCL)は全く違う物質なので混同しないよう注意してください。
また、時々窓を開けて空気の入れ替えもするようにしましょう。
感染してしまったら?気を付けるポイント
ただ、上記の注意点を守っていたとしても、感染する時には感染してしまうもの。
もし自分がインフルエンザになってしまったら…そんな時にまず意識してほしい、そんな2点をまとめました。

インフルエンザの流行の原因として大きいのはずばり、感染者自体の行動です。
体調は悪いけれど学校へ行く、仕事へ行く…
通勤通学時に一緒になった人たちはもちろんのこと、たどり着いた職場や教室にいる人たちに対してもウイルスを拡散してしまうことになります。
アリゾナ大学の行った実験では、1人の感染者がオフィス内で1日普通に過ごしただけで、オフィスの半分の人の手から感染者と同じウイルスが検出されたという結果が発表されています。
人は自分で思う以上に多くの場所に触れており、手を通じてウイルスは拡散する、という事実がわかりますね。
周囲の人にうつしてしまうとつらい思いをさせてしまうし、かえって迷惑が掛かってしまうので、もし感染してしまったときは無理をせず、外出を控えて安静にしましょう。

風邪やインフルエンザにかかると、咳や鼻水、くしゃみが出ますよね。
感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスをたくさん含んだ飛沫が周りに飛び散ってしまいます。
咳をゴホっとしただけでも、口元を覆っていなければ空気中にたくさんのウイルスが飛散するのです。
インフルエンザは飛沫感染のほか空気感染もすると考えられているため、感染者はマスクをしてつばやウイルスを飛ばさないことを意識するようにしましょう。
もし手元にマスクがない場合はティッシュやハンカチなどで口元を覆い、他人に向けてくしゃみや咳をしないように徹底しましょう。
また急な咳、くしゃみの際にとっさに手で顔を覆うようにしてしまうことがあるかと思いますが、これをやってしまうと今度はその手にウイルスが付き、そこから感染を広げてしまうことも…。
可能な限り袖や肘あたりの衣服で覆われている部分で口や鼻を覆うようにしましょう。
もし手を使ってしまった場合はすみやかに手を洗う、またはアルコールや次亜塩素酸水溶液の除菌剤を使用して手の除菌をしてください。
咳が出ているときは人との距離を2メートル程度取るようにし、飛沫の拡散を防ぎましょう。
もちろん、自宅から出ないことが基本です!
まとめ
インフルエンザの流行を抑えるためには、感染者自身はもちろん周囲の行動も大切です。
感染していない、予防をする人の気を付けるポイント
- こまめな手洗い
- 手洗いのついでにうがい
- 不織布性マスクを使用する
- 菌・ウイルス対策グッズの活用
- インフルエンザの予防接種をする
- 人混みを避ける
- 帰宅時に着替えをする
- 生活習慣に気を付け、免疫を高める
- 不特定多数が触る場所に注意
- 適切な加湿
感染してしまったとき、気を付けるポイント
- 感染したら、外出しない!
- マスクを着用!くしゃみや咳から周りを守ろう
インフルエンザの予防・対策として上記に挙げたポイントを意識して組み合わせ、感染リスクを低下させていきましょう!