子育てをしていると、お子様が体調を崩して看病することはどうしても避けられない場面ですよね。 特に冬場、インフルエンザやノロウイルスなどが流行する時期は、高熱で辛そうにしているお子様の姿を見るのが本当に辛い…という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「熱が高くて心配だから、早く薬を飲ませたい」「でも、この薬で大丈夫かな?」と不安になることもあると思います。
そこで今回は、お子様がインフルエンザにかかった際に処方される「お薬の正しい知識」と、見逃してはいけない「合併症」について、詳しくお話しします。いざという時のために、ぜひ一読して頭の片隅に置いておいてくださいね。
インフルエンザ治療薬の基本:発症から48時間が勝負
インフルエンザと診断された場合、基本的には「抗インフルエンザウイルス薬」が処方されます。 これらの薬は、ウイルスの増殖を抑える働きがありますが、「発症から48時間以内」に服用を開始しないと、十分な効果が期待できません。
48時間を過ぎてしまうと、ウイルスが増えきってしまい、薬で抑えることが難しくなります。その場合は、お子様自身の免疫力で治すことになります。だからこそ、「様子がおかしいな」と思ったら早めの受診が大切なのです。

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以前は「タミフル」や「リレンザ」が主流でしたが、現在は選択肢が増えています。医師はお子様の年齢や体重、症状に合わせて最適なお薬を選びます。
タミフル(ドライシロップなど): 昔からある一般的なお薬です。1日2回、5日間飲み続けます。シロップやドライシロップ(粉)があり、甘く味付けされているため、小さなお子様でも飲みやすいのが特徴です。
リレンザ / イナビル: 吸入器を使って粉薬を吸い込むタイプです。気道に直接届くので効果的ですが、吸い込む力が必要なため、小さなお子様(およそ5歳未満)には難しい場合があります。
ゾフルーザ(新しいお薬): 近年登場した、1回飲むだけで治療が完結するお薬です。飲み忘れの心配がありませんが、体重などの基準や医師の判断によります。
以前は「タミフル=異常行動」というイメージがありましたが、現在は「インフルエンザにかかったこと自体」が異常行動のリスク要因であると考えられています。どのお薬を使っていても(あるいは使っていなくても)、発熱から2日間は、お子様を一人にしないよう注意が必要です。
タミフルなどの抗インフルエンザ薬を飲むと、通常2日程度で熱が下がることが多いですが、熱が下がったからといって自己判断で服用をやめないでください。 体内に残っているウイルスをしっかり退治し、ぶり返しを防ぐためにも、処方された期間(通常5日間など)は最後まで飲みきることが大切です。
なお、予防投与については、原則としてご家族への感染予防目的での保険適用は認められていません(自費診療となります)。看病をされる親御さんは、手洗い・うがい、マスクの着用、そして室内の除菌・加湿などで徹底した予防を心がけましょう。
「夜中に急に熱が出たから、家にある置き薬を使おう」 その判断、ちょっと待ってください。インフルエンザの時に、成分を確認せずに市販の解熱鎮痛剤を使うことは非常に危険です。
インフルエンザの際に、特定の解熱成分(アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸など)を子どもに使用すると、「インフルエンザ脳症」を引き起こしたり、重症化させたりするリスクが高まることが知られています(ライ症候群など)。
NGな例: 大人用の痛み止め、成分が不明な古い置き薬、兄弟の余った薬など。
OKな例: 医師から処方された解熱剤、または市販薬でも「アセトアミノフェン」のみが成分のもの。
迷った時は、必ず医師や薬剤師に相談するか、夜間救急相談などを利用してください。「自己判断で飲ませない」ことが、お子様を守ることに繋がります。
お子様へのお薬の上手な飲ませ方
良薬口に苦しとは言いますが、具合が悪い時に嫌がる子どもに薬を飲ませるのは、親御さんにとっても一苦労ですよね。 少しでもスムーズに飲んでもらうためのポイントをご紹介します。
食前・食後にとらわれすぎない: 「食後」の指示があっても、食欲がない時や、お腹がいっぱいで吐いてしまいそうな時は、食事の前や、少し何かを口にしたタイミングで飲ませても問題ない場合が多いです(※薬の種類によるので薬剤師にご確認ください)。
混ぜて飲みやすくする: 粉薬の場合、少量の水でペースト状にして頬の内側に塗ったり、以下のものに混ぜたりすると飲みやすくなります。
アイスクリーム(チョコアイスなど味の濃いもの)
ヨーグルト
ゼリー
練乳など
酸味のあるジュースやスポーツドリンクと混ぜると、逆に苦味が増す薬(マクロライド系抗生物質など)もあるので注意が必要です。
吐いてしまった時には下記を目安に対応してくだい。
飲んで10分以内: まだ吸収されていない可能性が高いので、落ち着いてからもう一度同じ量を飲ませてください。
30分以上経過: 多くは吸収されていますので、追加で飲ませる必要はありません。
判断に迷う時: 次回の服用まで待つか、医師・薬剤師に電話で相談しましょう。
高熱で水分も摂れず、薬も飲めない時は「座薬」が処方されることがあります。腸から直接吸収されるため、即効性があります。
保管: 冷蔵庫で保管し、半年〜1年程度を目安に使用期限を守りましょう(古いものは破棄してください)。
挿入後: 異物感ですぐに出そうとしてしまうことがあるため、30秒〜1分ほど肛門をティッシュなどで優しく押さえてあげてください。
出てきてしまった場合: 形がそのままで出てきたら入れ直します。溶けて形がない場合は吸収されています。
見逃さないで!インフルエンザの合併症
インフルエンザが怖いのは、高熱そのものよりも、稀に引き起こされる重い「合併症」です。特に抵抗力の弱い小さなお子様は注意が必要です。
1. インフルエンザ脳症
発熱から数時間〜1日という短期間で急激に発症し、意識障害やけいれんを引き起こします。原因は完全には解明されていませんが、ウイルスに対する免疫の過剰反応(サイトカインストーム)などが関係していると言われています。

※引用:厚生労働省「インフルエンザ、患者さん・ご家族・周囲の方々へ」
【すぐに救急車または救急外来へ行くべきサイン】
けいれんが長い: 5分以上続く、または短いけいれんを繰り返す。
意識がおかしい: 呼びかけに反応しない、ボーッとしている、意味不明なことを言う(異常言動)。
異常行動: 幻覚におびえる、突然走り出すなど。
「熱性けいれん」は良性の場合が多いですが、素人判断は危険です。「いつもと明らかに様子が違う」と感じたら、迷わず医療機関を受診してください。
2. 肺炎・気管支炎
ウイルスが肺まで侵入したり、弱った粘膜に細菌が二次感染したりすることで起こります。
「熱が下がったのに咳がひどくなった」「呼吸が苦しそう(肩で息をする、小鼻がピクピクする)」といった症状が見られたら、早めに再受診しましょう。
3. 中耳炎
鼻と耳がつながっている子どもは、中耳炎を併発しやすい傾向があります。 まだ言葉で伝えられない赤ちゃんの場合、以下のようなサインがないか観察してください。
機嫌が悪く、泣き止まない。
しきりに耳を触る、気にする。
耳を触られると嫌がって泣く。
耳だれ(膿)が出ている。
※本記事は、厚生労働省や関連学会のガイドラインに基づき作成していますが、医療行為を推奨するものではありません。症状や体質には個人差がありますので、実際の診断や薬の服用については、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
まとめ
インフルエンザのお薬と、気をつけるべき合併症についてお話ししました。
子どもたちは私たちにとって、そして未来の社会にとってもかけがえのない宝物です。 重症化や後遺症を防ぐためには、早期発見・早期治療、そして何より「感染させないための予防」が最も大切です。
発症したら48時間以内に受診する
自己判断で市販の解熱剤を使わない
服薬後も子どもの様子(けいれん・異常行動)をしっかり観察する
この3点を心に留めて、冬の感染症シーズンを乗り切りましょう。もちろん、日頃の除菌・ウイルス対策も忘れずに行ってくださいね。
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