寒い季節になると、インフルエンザやノロウイルスなど、様々な感染症が流行しやすくなりますね。お子さんのいるご家庭では、特に予防について気にされている方も多いのではないでしょうか。
手洗いやマスク、うがいなど、日ごろから行っている対策が本当に効果的なのか、疑問に思うこともあるかもしれません。
今回は、インフルエンザとノロウイルスという代表的な感染症を例に挙げながら、効果的な予防方法について詳しくお話ししていきます。
感染症予防の要は「手洗い」
風邪、インフルエンザ、そしてノロウイルス。これらの感染症は、飛沫感染や接触感染、空気感染など様々なルートで広がりますが、実は多くの感染症が手を介して目、鼻、口から体内に侵入すると言われています。
特に、ご家庭の外では、くしゃみや咳などで拡散したウイルスが、ドアノブや電車のつり革、共用のパソコンなど、不特定多数の方が触れる様々な場所に付着しています。そのような場所に触れた手で、ご自身の顔を触ったり、お子さんの口元に触れたりすることで、ウイルスが体内に侵入してしまうのです。
そのため、インフルエンザやノロウイルスといった感染症から体を守るためには、手からのウイルスの侵入を防ぐ「手洗い」が最も重要な予防方法となります。
手に付着したウイルスを粘膜に触れる前に洗い流すという点で、手洗いは非常に有効的です。
効果的な手洗いを行うタイミングは、以下の通りです。
・外出先から帰宅した時
・くしゃみをして手で覆った時
・乳幼児の嘔吐物や便を処理した後
・トイレの使用後
・嘔吐物を処理した時
・廃棄物処理などの作業を行った後
・料理をする前や料理中の必要な時
手洗いをする際は、ただ水で流すだけでは不十分です。石鹸を使い、手のひらだけでなく、指の間や爪の周り、手首まで、数十秒かけてしっかりと洗い流すことが大切です。シワに入り込んだウイルスも意識して洗い流すことで、より効果的な予防に繋がります。
手洗いなしの状態で約1,000,000個のウイルスが付いていると仮定すると、
流水で15秒手洗い:約10,000個に減少
石鹸で10秒または30秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ:数100個に減少
石鹸で60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ:数10個に減少
石鹸で10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返す:約数個に減少
このように、石鹸を使った丁寧な手洗いが、ウイルスを大幅に減少させる効果があることがわかりますね。

そして、手洗いを終えた後に、キエルキンも合わせるととさらに除菌・ウイルス除去効果が期待できます!
マスクのインフルエンザ・ノロウイルス予防効果は?
インフルエンザやノロウイルスが流行する時期に、予防のためにマスクを着用する方も多いと思います。
しかし、実は厚生労働省ではインフルエンザ予防のためにマスクの使用は推奨していないとしていましたが、現在は、高齢者など重症化リスクの高い方への感染を防ぐため、特定の場面ではマスクの着用を推奨するに変更になりました。
参考:厚生労働省:マスクの着用について
しかし、インフルエンザもノロウイルスもマスクによる予防効果は限定的とされています。また、ノロウイルスに関しても、マスクに感染を予防する効果はほとんど期待できません。
この理由として、インフルエンザウイルスもノロウイルスも非常にサイズが小さく、一般的なマスクではその目の中を通り過ぎてしまうため、予防効果があまり期待できないことがわかっています。装着したからといって、口や鼻からのウイルス侵入を完全に防げる保証はないと認識しておいた方が良いでしょう。
粉塵の対策として利用されるサージカルマスクのような目の細かいものであれば、ウイルスを遮断するために効果的と考えられますが、日常生活の中でこのサージカルマスクを着用し続けるのは息苦しく、現実的ではありません。
また、サージカルマスクを使用しても、マスクをずらしたり外したりした瞬間にウイルスは至る所から体内に侵入する危険があるため、必ずしも効果的ではないものとなっています。
参考:埼玉医科センター:マスクの効果と正しい使用方法
先手洗いが有効なのは手に付着する分に対してのみなので、大勢の人がいる場所に出入りする場合は飛沫感染に対処できないため不十分になりえます。
ただし、咳やくしゃみの症状がある方がマスクを着用すると、飛沫感染の可能性を軽減することができます。 これはインフルエンザウイルスもノロウイルスも同様です。
ノロウイルスの場合、嘔吐物などの処理マニュアルではマスクを着用することになっています。これは、ノロウイルスが含まれる吐瀉物が物理的に口に入る可能性を低くするためです。
そのため、マスクは予防する目的ではなく、周りの人へ感染させることを防ぐために使用するようにしましょう。
もし咳や鼻水などの症状がある場合は、周りの方への配慮としてマスクを着用しましょう。その際は、顔のサイズに合った製品を選び、マスクと顔の間に隙間ができないように注意してください。
また、マスクを外す際に、ウイルスが手に付いてしまう可能性があるので、マスクを外した後の手洗いも忘れずに行いましょう。
基本的にはマスクは1度外したら捨てるようにしましょう。
うがいにインフルエンザ予防効果は?
昔から風邪やインフルエンザの予防には「手洗い、うがいをするように」と言われてきたと思います。
一方、厚生労働省によると、うがいは一般的な風邪などを予防する効果があるといわれていますが、インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていません。
その理由として、インフルエンザは、鼻からウイルスが侵入した場合、細胞に感染するまでのスピードが非常に速いため、1日数回のうがいが予防にどこまで役立つのか実証できておりません。
うがいを行うことのメリットは、口の中を適度な湿気に保つことができるということです。湿気は、口腔内の粘膜を守る役割があります。インフルエンザウイルスは乾いた環境を好むため、なるべく口腔内が乾燥しないように対策することが大切です。
こまめに水分補給をすること、あめやガムを食べること、うがいをすることで、間接的にインフルエンザ予防に繋がる可能性はあります。
しかし、インフルエンザウイルスが口腔内の粘膜についてから体内に侵入してくるので、うがいで洗い流すというよりは粘膜の働きを助けると考えてください。そのため、うがいが直接的にインフルエンザ予防できるかといえば疑問が残ります。
やらないよりはやった方がいいといったレベルでしょうか。

うがいよりも優先的に、手洗いや人混みをなるべく避けることの方がいいかと思います!
意外に思われるかもしれませんが、水道水でのうがいが風邪予防になることが、京都大学健康科学センターの研究により発表されました。また、2005年には、American Journal of Preventive Medicine(米国予防医学会機関誌)にもその成果が掲載されています。
研究では、うがいをしないグループと、ヨード液でうがいをするグループ(15秒×2回を1日3回)、水道水でうがいをするグループ(15秒×2回を1日3回)を比較して、風邪の罹患率を調べました。
その結果、うがいをしないグループでは、100名中26.4人/月、ヨード液うがいグループは23.6人/月、水うがいグループは17.0人/月ほど風邪を発症しました。
水うがいをした場合としない場合の罹患率は約36%も低下し、有意に差が出たのです。これは、プロテアーゼという酵素(ウイルス増殖するために必要な機能タンパク質を作るために必要)が洗い流される可能性が挙げられます。
イソジンなどのヨード系のうがい薬は、口腔内やのどの粘膜を傷つけてしまう可能性があり、うがいの効果が出なかったものと考えられます。
注意:うがいをすることでインフルエンザを予防できるという科学的なエビデンスではないということに留意してください。
水うがいは、不特定多数の人と接触した後、外から帰って来た時、口腔内や喉が乾燥する時など、定期的にすると効果を高めることができます。
参考:京都大学健康科学センター「水うがいで風邪発症が4割減少」
うがいをするときには二回に分けて行います。
①1回目は、コップにぬるま湯か水を準備し、口に水を含み口の中全体をゆすぎます。
②次に、再度口に水を含み顔を上に向けてガラガラうがい(ガーと音を出して)をして5秒ほどして吐き出します。
その理由として、いきなりガラガラうがいをすると、口の中にある細菌やウイルスを奥に押し込んでしまう可能性があるためです。
お部屋の加湿に関して言うと、石油ストーブにやかんを乗せて温めているときと違って暖房にエアコンや電気ストーブなどを使用している場合には、まったく水蒸気が発生しません。
そのため、これらを使用している時には加湿が必要となります。 室内で加湿器使用する場合50〜60%の湿度に管理するほ
か、換気も時々は入れ替えるなどをして対策しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、インフルエンザや風邪、ノロウイルスの予防における手洗い、マスク、うがいの効果について、詳しくお話ししました。
最も効果的な予防策は手洗いであり、特に外出先から帰宅した際や、不特定多数の人が触れる場所に触れた後は、石鹸を使って丁寧に手洗いすることが大切です。
ノロウイルスについては、石鹸自体にウイルスを不活化する効果はありませんが、汚れとともに洗い流すことで大幅な除去が期待できます。
マスクは主に、咳やくしゃみなどの症状がある方が周囲にウイルスを広げないために着用するもので、インフルエンザやノロウイルスの予防効果は限定的です。うがいは直接的なインフルエンザ予防効果は証明されていませんが、風邪予防には水うがいが有効であり、口腔内の乾燥を防ぐという意味で取り入れると良いでしょう。
これらの情報を参考に、ご自身やご家族の健康を守るための予防策を実践してみてくださいね。
以上、インフルエンザ予防にうがいやマスクは効果がない?ノロウイルス対策もあわせて解説!についてお話をしました。
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