次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを徹底比較!厚生労働省の見解は?

食品添加物次亜塩素酸水

【追記2018年5月28日】【追記2018年7月4日】

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、名前が非常に似ていますが、全く違う物質でよく間違って同一のものと思われている人もいらっしゃいます。

 

厚生労働省は、次亜塩素酸水(HOCL)と次亜塩素酸ナトリウム(NaOCL)についてのいくつもの比較実験を行なっております。同じような殺菌作用がありますが、殺菌メカニズムや殺菌効果の範囲も実際には変わってきます。

 

次亜塩素酸ナトリウムは医療分野においてはリネン・医療用具・環境に有効塩素濃度200~500ppmでの清拭あるいは浸漬で、食品製造分野においては器具や食材に有効塩素濃度100~200ppmでの洗浄で用いられています。

 

しかし、次亜塩素酸ナトリウムによる金属腐食・食品への異臭味等の副次的な問題をはらんでいます。これらの有効塩素濃度で次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合、使用時に接液した金属部への腐食性があること、人の粘膜への刺激や異臭があることが問題となっています。

 

また、食品分野の場合、次亜塩素酸ナトリウム特有の塩素臭が異臭味としてクレームの原因になるだけでなく、食材の有機物と反応して発がん性物質であるトリハロメタンが生成され食品中に残存するという健康上の問題も存在します。

 

また、異臭味およびトリハロメタン除去のため、後段の水洗工程にて大量の水ですすぐ必要があり、製造コストの増加の一因となっています。

 

そこで、厚生労働省の解釈を元に次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いにつて詳しくお話できればと思います。

次亜塩素酸水の細菌・真菌に対する殺菌効果について

芽胞菌は熱や薬剤にも耐性をもっており、炭疽菌やボツリヌス菌などの生物兵器にも使用されており、非常に強い細菌(菌類最強)です。

 

微酸性次亜塩素酸水の有効塩素濃度30ppmでは有効性が低かった芽胞菌に対して、有効塩素濃度を57ppm以上にすると芽胞菌に対しても有効で、3分後には検出なしという結果でした。

 

下記の殺菌効果試験では、培養した大腸菌、黄色ブドウ球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、サルモネラ菌、緑膿菌、レンサ球菌、枯草菌(芽胞菌)、カンジダ、黒コウジカビなどの細菌・真菌に対して次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ベンゼルコニウムと比較しました。

厚生労働省次亜塩素酸殺菌データ

※1  引用:厚生労働省

1)次亜塩素酸水 57ppm、pH5.2

2)塩化ベンザルコニウム液 500 ppm

3)次亜塩素酸ナトリウム液 200 ppm

※2 純水のみを加えた比較するための対照区です。

 

結果としてまとめると、下記のことが言えます。

 

次亜塩素酸水は、芽胞菌以外の微生物は1分以内で死滅し、芽胞菌も3分以内に死滅しました。その他の薬剤では効果が見られませんでした。

・黒コウジカビの殺菌においても次亜塩素水以外の薬剤と比較して短時間で、効果的な殺菌効果でした。

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの殺菌力の違い

塩素の殺菌する能力は有効塩素によって変わってきます。弱酸性の次亜塩素酸水は、有効塩素残存率が最大になり塩素の殺菌力を最大限に使用できます。次亜塩素酸(HOCL)の殺菌力は次亜塩素酸イオン(OCL-)より約80倍高いといわれています

 

補足:現実には、次亜塩素酸ナトリウムにはアルカリ性の力を使って溶かして殺菌する力があるため殺菌力の差は状況によって変わってきますが次亜塩素酸水の方が次亜塩素酸ナトリウムよりも殺菌力は高いです。

 

アルカリ性と酸性に傾くにつれて有効塩素が低下していきます。(グラフとしては山の形になります)酸性になると塩素ガスになり、アルカリ性になると次亜塩素酸イオンの状態になります。

次亜塩素酸(HOCl)の存在比率のpH 依存性

引用:厚生労働省

つまり、次亜塩素酸水は、次亜塩素酸の存在比率が高いため、次亜塩素酸ナトリウムよりもより殺菌力があると言えます。

 

参考:厚生労働省資料「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムが食品に付着している微生物に対する殺菌効果

カットレタス、カットキャベツ、カイワレダイコン、鳥ささみ肉の各種食材を次亜塩素酸ナトリウム(200ppm)、微酸性次亜塩素酸水(70ppm、pH6.3、79ppm、pH6.1)で処理し、一般生菌数の測定を行いました。

 

次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水で処理した前後の一般生菌数

次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水で処理した前後の一般生菌数

引用:厚生労働省

※1有効塩素濃度 70ppm、pH6.3

※2有効塩素濃度 79ppm、pH6.1

 

その結果、微酸性次亜塩素酸水処理後の菌数は、未処理の場合と比較して菌が減少していました。

※次亜塩素酸ナトリウム処理の有効塩素濃度は、大量調理施設衛生管理マニュアルで設定されている濃度200ppmを基準とました。

 

結論として、次亜塩素酸ナトリウムの3分の1以下の有効塩素濃度でも同等以上の殺菌力があることが分かります。

これらは、処理後水道水で洗い流しておらず、水切りのみした状態にも関わらず、どちらも処理後残留塩素は検出しませんでした。

また、次亜塩素酸水ではなく、弱酸性次亜塩素酸水溶液でも同じ実験をしたところ、次亜塩素酸ナトリウムよりも低濃度で効果があり、短時間で殺菌が可能でした。メリットとして、比較的接触時間が短くて済むため、金属への腐食(サビ)や異臭味が軽減し、殺菌処理した後のすすぎの水量や時間も減少・短縮することができました

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムが食品中の栄養素に与える影響

食品添加物として使用される殺菌料の次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムが食品に含まれる影響をいくつかの野菜で評価しています。

 

次亜塩素酸水50ppmと次亜塩素酸ナトリウム150ppmをほうれん草、ニンジン、パセリ、キャベツ、レタス、キュウリなどで検証しました。

 

・クロロフィル・β-カロチン(野菜の色調及び色素成分)→有意差なし

 

野菜色素成分の減少は、カットしているため壊れた細胞からのクロロフィルやβ-カロチンが流出したことが原因で、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムが原因ではありません。

 

・アスコルビン酸(ビタミンCの主成分)→有意差なし

 

アスコルビン酸含量はいずれの野菜も次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウム、水道水処理と比較して差はありませんでした。

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムとトリハロメタンの生成について

水道水を塩素消毒する際にごく微量ですが、クロロホルム、トリハロメタン、ブロモホルム、ジブロモクロロメタンなどの副産物も発生してしまいます。これらの副産物を総じてトリハロメタンと呼び、発がん性の可能性がある物質と言われております。

補足:食品中でのクロロホルムの基準値は決められていません。

 

厚生労働省のレギュレーションは、WHO(世界保険機関)よりも厳しい水質基準をとっております。日本では、トリハロメタンの濃度が0.1ppm以下とされてこの基準であるならば健康被害はないとされています。

また、そのトリハロメタンの中のクロロホルムも同様に、日本の水道水基準では、0.06ppm以下とされ、WHOの0.2ppm以下よりも低くなければいけません。(クロロホルムは時間の経過や水洗によって空間に飛散していき濃度が徐々に低下していきます。)

参考:厚生労働省「水質基準に関する省令」

 

食品中でのトリハロメタンの生成に関して、次亜塩素酸水(0.037ppm)より水道水(0.046ppm)で処理したものほうがトリハロメタンが少し多く存在しました。(もちろん、どちらも水質基準値以下)

 

また、次亜塩素酸水を純水にて処理したところトリハロメタンを検出しませんでした。つまり、トリハロメタン生成量は水道水に含まれるトリハロメタンに左右されるものと考えられると結論付けられました。

 

塩素で消毒をする場合トリハロメタン以外に、他にも染色体異常あるいは形質転換誘発性が高いハロ酢酸類なども副産物として生成する場合もあります。そのため次亜塩素酸ナトリウムよりも短く処理できる弱酸性の次亜塩素酸水はよりリスクの軽減ができることもわかっています

次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の安全性試験

公益財団法人食品農医薬品安全性評価センターによると、次亜塩素酸水の急性経口毒性試験、皮膚刺激性試験、急性眼刺激性試験、皮膚感作性試験、口腔粘膜刺激性試験、染色体異常試験において、変化は認められなかったという結果でした。

 

また、ラットに次亜塩素酸ナトリウム(500~2,000ppm)を104 週間、マウスに次亜塩素酸ナトリウム(500、1,000ppm)を103週間投与し、発がん性について研究した結果、体重増加率の減少については次亜塩素酸ナトリウム濃度が高くなるほど顕著に現れています。

 

しかし、生存率及び腫瘍の発現率については次亜塩素酸ナトリウム濃度に関わらず、対照群と有意差がありませんでした。つまり、発がん性は次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウムにはないことが分かります。

まとめ

厚生労働省によると、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムを比較すると以下の結論が導けます。

 

・次亜塩素酸ナトリウムでは枯草菌(芽胞菌)には効果が低いが次亜塩素酸水であれば3分後には検出なし

・次亜塩素酸水の方が、次亜塩素酸ナトリウムと同じ濃度であれば殺菌力が高い

・どちらも食品中における食品の栄養素に問題がない

・次亜塩素酸水はトリハロメタンを生成しない

・どちらも安全性の試験をクリアしている

・次亜塩素酸水に発がん性はない

 

以上、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを徹底比較!厚生労働省の見解についてご紹介しました。

 

参考厚生労働省資料1:http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc_ziaensosan181214.pdf

 

参考厚生労働省資料2:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0320-7h.pdf

 

参考厚生労働省資料3:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf